アルマーニのマーケティング戦略がスゴイ!完璧主義者のブランド育成戦術を学ぼう
 
Giorgio Armani1975年ジョルジオ・アルマーニさん(1934年生まれ)によって設立されたファッションブランドです。
 
 
アルマーニさんは「巨匠中の巨匠」「モード界の帝王」「完璧主義者」などと呼ばれ、多くの人から慕われるとともに、ジャンフランコ・フェッレ、ジャンニ・ヴェルサーチと並び「ミラノの3G」と言われるほどの確固たる地位を確立しました。
 
 
ファッション業界で最も権威のあるブランドとも言われ、メインブランド「ジョルジオ・アルマーニ」のほか、複数の姉妹ブランド、さらにはリゾート、化粧品、高級レストランなど多岐にわたる事業を展開し、「アルマーニ」と総称されます。
 
 
今回はアルマーニさんがどんな経歴を持って、どんな戦略のもとにブランドの育成を行っていったのかを紹介してみたいと思います。
 
 
まずはアルマーニさんの経歴について見てみましょう。
 
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アルマーニさんの経歴とブランドの特徴

紳士服のバイヤーからジョルジオアルマーニ立ち上げへ

 
実はアルマーニさん、少し変わった経歴を持っています。
 
医者を目指して医学部へ進学しましたが、徴兵により中退。
 
医学への道を断念します。
 
 
 
1957年から大手百貨店に勤務し、紳士服のバイヤーとしてのキャリアを積みます。
 
当時から主に富裕層の顧客を相手にしてマーケティングの感覚を磨いていたようです。
 
65年からはデザイナーとしての活動を始め、75年に建築家のセルジオ・ガレオッティと共同で、ミラノを拠点にファッションブランド、「ジョルジオ・アルマーニ」を立ち上げます。
 
 
 
パートナーにファッション関係者ではなく建築家を選んだことが面白いですね。
 
この時点で既にファッション以外への多角化のビジョンをかなり持っておられたのかもしれません。
 
 
 

一貫したブランドコンセプトと大躍進

 
アルマーニのコンセプトは「素材の良さ」「シルエットの良さ」「着心地の良さ」を追求した機能性重視なデザイン。
 
あくまでもシンプルでナチュラル、着心地が良く現在生活にマッチしているところにアルマーニの特徴があります。
 
クールでダークトーンなブランドイメージを徹底し、時代を超えたエレガンスとモダニズムの融合を図ったことが世間に高く評価されました。
 
この新しい感覚を取り入れた新境地を切り開くことにより、彼は開店からわずか3年で「ジャケットの王様」とまで呼ばれます。
 
 
 
 
彼はデザイナーとして類稀な才能を発揮する一方で、プロモーション(販売促進)においても業界に衝撃を与える戦略を打ち出します。
 
映画やスポーツなどにおいて人気俳優や選手が身に付けるものを提供することにより、絶大な宣伝効果を発揮し成功を収めます。
 
 
その卓越したプロモーション戦略により、アルマーニの洋服は瞬く間に世間の話題となりました。
 
そしてその影響力の大きさから「モード界の帝王」とまで呼ばれるようになります。
 
現在でもその戦略は脈々と受け継がれているようですね。
 
 
 
↓アルマーニ×クリスチアーノ・ロナウド×肉体美のCMを見てみる(1分30秒)目の保養にどうぞ。
投稿者:アルマーニ
 
 
 
この戦略によって広がったアルマーニの代表的な商品に、アイコンジャケットというものがあります。
 
肩パットや芯などを一切使わず、体にフィットし柔らかいラインが出るセクシーなジャケットです。
 
 
極限まで着心地の向上を狙ったジャケットと言われますが、体のラインがモロに出るため、体形に自信のある人向けのジャケットでもあります。
 
このこれまでの常識を覆したこのソフトスーツにより、アルマーニさんは20世紀で最も成功したデザイナーとまで呼ばれるようになりました。
 
 
↓アルマーニさんのデッサン力がスゴい!(1分弱)
 
 

アルマーニの各ラインとマーケティング戦略

 
一般にアルマーニというとかなり高額なイメージがありますが、実は複数のラインに分かれており、比較的安い価格で買えるラインも存在します。
 
少し前までアルマーニでは次のようなラインを展開していました。
 
「ジョルジオ・アルマーニ」(GA) メインブランドで最も高額なライン(通称ブラックレーベル)
「エンポリオ・アルマーニ」(EA) 若者向けのセカンドブランド
「アルマーニ・コレツィオーニ」 ビジネス向けのディフュージョンライン(通称ホワイトレーベル)
「アルマーニ・ジーンズ」(AJ) カジュアルファッションライン
「アルマーニ・エクスチェンジ」(A/X) アルマーニ版ファストファッション
しかし2018年以降、コレッツィオーニアルマーニジーンズを休止して既存ラインに集約しました。その結果、現在は次の3つのラインを柱とする体制になっています。
 
「ジョルジオ・アルマーニ」(GA) メインブランドで最も高額なライン
「エンポリオ・アルマーニ」(EA) 若者向けのセカンドブランド
「アルマーニ・エクスチェンジ」(A/X) アルマーニ版ファストファッション
再編統合の理由は、過剰なラインによる消費者の混乱と、メインラインのブランド価値低下、希釈化を避けるためではないかと考えられます。
 
そして再編の結果、高価格のジョルジオアルマーニ、中価格のエンポリオアルマーニ、低価格のアルマーニエクスチェンジ、と分かりやすく整理されました。
 
 
アルマーニは、まずはE/Xで学生などの若年者層のアルマーニファンを獲得し、囲い込みを行い継続購買を促すことで、彼らがそれなりの収入を得られるようになったらエンポリオアルマーニを、さらに社会的にしかるべき地位に就いた時にはジョルジオアルマーニを買ってもらい、お客さんに末永くアルマーニを使ってもらおう、という戦略をとっています。
 
 
ラインが分かりやすく整理されたことで、「メインラインのブランドイメージを崩すことなく顧客生涯価値(LTV:ライフタイムバリュー)の向上を図る」というこの戦略が、より明確になりました。
 
 
要するにこれは、次の「マーケティングの②プライシング」をうまく設定することにより、「幅広い顧客層にアルマーニブランドを浸透させることを狙った戦略」ということになります。
 
 
確かに利用する側としてもこちらのほうがわかりやすいですよね。
 
 
一般にマーケティング4つのPから成り立っていると言われています。①Product(プロダクト) ② Price(プライス) ③ Place(プレイス) ④Promotion(プロモーション)
 
プロダクトは製品戦略のこと、つまり誰に対してどんな商品を開発するのか
プライスは価格設定をどうするのか
プレイスはチャネル、つまりどのような販売ルートを使うのか
プロモーションは販売促進、つまりどのように販売するのか
 
このようになります。
 
 
デザイナーとしての仕事は①プロダクト(製品戦略)該当することになります。
 
そして人気俳優などが身に付けるものを提供することにより、爆発的な販売促進を行うのは④プロモーションに該当します。
 
さらに高価格ラインと中価格ライン、低価格ラインを使い分ける②プライシング(価格設定)をうまく行うことにより、幅広い顧客層にブランドを浸透させました。
 
 
このようにして見てみると、アルマーニさんはデザイナーとしてはもちろんのこと、マーケティングのすべての要素がうまかった。
 
このように言うことができますね。
 
アルマーニさんさすがです。
 
 
 
 
イギリスのブランドファイナンス社による2017年の「世界アパレルブランド価値ランキング」によるとアルマーニのブランド価値はアパレルの中では世界第22位にランクイン。
 
創業者が一代で築き上げたファッションブランドとしては、最も成功している部類になります。
 
ブランドイメージも高く、ステータスも高い。
 
世のビジネスマンの憧れのブランドです。
 
 
 
 
↓アルマーニさん in モスクワ 仕事の様子を見てみる(1分36秒)
投稿者:アルマーニ
 
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まとめ

 
アルマーニさん(1934年生まれ)は40歳を過ぎてからこのブランドを立ち上げました。
 
そしてたった一代でここまでのブランドに育てあげ「モードの帝王」とまで呼ばれるようになりました。
 
…ロマンを感じません?
 
 
いくつになっても挑戦し続ける姿は素敵ですね^^
 
 
 
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