高級時計の代名詞とされるロレックス、オメガの上には、一般人がなかなか手を出せない雲上ブランドと呼ばれる世界があります。
オーデマピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ブレゲ、ランゲ&ゾーネ……
その雲上の中でも、最上位に位置する名門の中の名門が「パティック・フィリップ」。
世界で最も高額で最高峰の時計を販売する、時計業界の頂点に君臨する会社になります。
「パティック・フィリップ」の歴史は、1839年にスイスのジュネーブで始まります。
創業者はポーランド人の「アントワーヌ・ノルベール・ド・パテック」と「フランソワ・チャペック」。
その後フランス人時計師「ジャン・アドリアン・フィリップ」と世界最高の時計を作ることで意気投合し、1851年に「パティック・フィリップ」名前が誕生しました。
ロンドン万国博覧会では、世界初の鍵なし時計が称賛を浴び、1868年にはスイス初の腕時計を制作。
世界屈指の技術力で超複雑機構時計を次々と発表し、世界的な名声を獲得しました。
カラトラバ
エリプス・コレクション
ノーチラス
ゴンドーロ
アクアノート・コレクション
Twenty~4・コレクション
コンプリケーション
グランド・コンプリケーション
これらの8つが現在の「パティック・フィリップ」の主なラインとなっています。
ここでは、「パティック・フィリップ」のスポーツウォッチ・ライン「ノーチラス」から、市場価格が2,000万円にも高騰しているクロノグラフ・モデル「5980/1R-001」をご紹介します。
ノーチラスとは
「ノーチラス」は、1976年に誕生した「パティック・フィリップ」初のスポーツウォッチ。「ノーチラス」の名は、ジュール・ヴェルヌの小説「海底二万里」に登場する潜水艦「ノーチラス号」に由来しますが、ラテン語では「オウムガイ」の意味があり、どちらも美しいフォルムの象徴とされています。
主な特徴は、潜水艦の船窓をイメージしたケースと緩やかな八角形のベゼル、左右の突起、高い防水性能と薄いフォルムの両立、そして非常に高い人気と値段の高騰。フォーマルとの相性がいいのも特徴です。実は「ノーチラス」のデザインは「ジェラルド・ジェンタ氏」という非常に有名な方が手がけています。「ジェラルド・ジェンタ氏(1931-2011)」は、オーデマピゲの「ロイヤルオーク」、IWCの「インジュニア」「ダ・ヴィンチ」、オメガ「コンステレーション」なども手がけた、「20世紀最高の時計デザイナー」とまで称される人物です。特に同時期にデザインされた「ロイヤルオーク」とは共通点が多く、どちらも世界屈指の名作としてスポーツウォッチの最高峰に位置付けられています。
HP によると「ノーチラス」の税込正規価格は300万円台から1500万円超まで。しかし特に近年の「ノーチラス」人気は凄まじく、中には正規価格の倍以上に高騰しているモデルも存在します。現在最も手に入れるのが難しい時計の一つとも言われています。
「ノーチラス」は有名人にも当然人気がありますが、愛用者にはスーパーセレブ級名前も連なります。海外では、レオナルド・ディカプリオさん、ブラッド・ピットさん、ジェイソン・ステイサムさん、コナー・マグレガーさん、国内では、市川右團次さん、田中卓志さん、設楽統さん、有田哲平さん、などが愛用されたことが知られています。
ノーチラス「5980/1R-001」
ムーブメントはパワーリザーブ55時間の「キャリバーCH28-520C/522」。着用しているだけで自動的にゼンマイを巻き上げる「自動巻き」タイプで、裏側からムーブメントを眺められるシースルーバックを採用しています。「パティック・フィリップ」は「パティック・フィリップ・シール」と呼ばれる時計業界で最も厳格とされる独自の認定基準を設け、自社の全ての機械式時計を審査認定しています。これはムーブメントの精度に限らず時計全体が最高品質であることを保証するのと同時に、全ての時計のアフターサービス、修理を保証するものでもあります。
税込正規価格は11,143,000円で、市場価格は2,000万円前後。同じキャリバーを搭載した同型モデルも販売されており、ケースとバンドにステンレスとローズゴールドを使用した「5980/1AR-001」は8,085,000円、レザーバンド・タイプの「5980R-001」は7,821,000円となっています。
いわゆる「三大複雑機構」やジュエリーを使用することなく2,000万円という価格は、さすが「パティック・フィリップ」です。成功者の中でもごく限られた者のみが到達できる時計と言っていいでしょう。