アウトレットには腕時計の福袋が存在します。
2020年に、御殿場アウトレットにおいて時計の福袋を販売したメーカーは、 確認できた範囲ではセイコー、g-shock、カルバンクライン、フォリフォリの4社のみでした。
今回はこの中のセイコーの福袋について調べてみました。
目次
セイコーの福袋の特徴
実はセイコーの福袋はかなり風変りです。
毎年暮れの12月27日頃になると、アウトレットのホームページにおいて、各店舗の福袋情報が一斉に掲載されます。
2020年の御殿場アウトレットでは、 約70店舗ほどの福袋情報が掲載されましたが、 セイコーでは次のような発表になっていました。
レディース | メンズ |
42,900円 | 121,000円 |
38,500円 | 99,000円 |
37,400円 | 71,500円 |
24,200円 | 55,000円 |
20,900円 | 34,100円 |
31,900円 |
合計11種類で 用意する数量は不明。
そして元旦の早朝に アウトレット御殿場セイコー店の前に並ぶと、 次のような紙が張り出されます。
毎年のことですが、 事前の情報と若干異なるのもセイコーの福袋の特徴のひとつです。
ですが最大の特徴は、 この写真を見て分かるように中身が丸見えなこと。
これのどこが福袋なんですか?
… と僕も思ったのですが…
セイコーさんはあくまで「福袋である!!」
…と 言い張っているので…
…そういうことにしておいてあげてください。
要するに元旦の朝早くにお店の前に並べば、自分の欲しい時計をピンポイントで購入できるシステムです。
毎年だいたい8時前ぐらいに整理券を配り始め、 人気商品や品薄の商品のみ、朝9時の開店前に売り切れることが多いようです。
2020年は写真にある通り、アストロンの2種類だけが開店前に売り切れたみたいです。
ものによっては 1月2日以降でも手に入ることがあるみたいです。
セイコー豆知識
(ここは興味ある方だけどうぞ)
セイコーはセイコーホールディングスを中心として、主に時計などを製造販売する会社群になります。
我々日本人にとっては、 数ある身近な時計メーカーの一つにすぎないかもしれませんが、 実は世界屈指の技術力を持つと言われるかなりすごい会社なんです。
少しご紹介しますね。
1881年に創業すると急速に技術力を高め、 19世紀末には懐中時計分野で市場を独占します。
1913年には 国内初の腕時計「ローレル」を発売して時代を先取りし、
さらに1924年には「セイコー」ブランドを開始しました。
戦後は一転して、海外での存在感を高めていくことになります。
1964年には、それまでスイス勢が独占していた 「オリンピックでの公式時計」を務めました。
これにより世界的なブランドとして認知されるようになります。
さらに1969年に、世界初のクオーツ式腕時計「アストロン」を発売すると、 時計業界に激震が走ります。
この全く新しい駆動方式の発明により、 時計王国スイスのシェアは42%から6%まで激減し、 スイス時計業界は一時は壊滅寸前まで追い込まれたと言われています。
これが有名な「クォーツショック」になります。
1999年には、機械式とクォーツのハイブリッド である「スプリングドライブ」を世界で初めて開発し、グランドセイコーに搭載しました。
針がカチカチ動かず、滑らかに進むのが特徴で、 この針の動きに魅了される人も多いそうです。
機械とクオーツの両方でトップを走るセイコーだからこそ実現できたと言われています。
そして2012年には、世界初の GPS ソーラーウォッチ「アストロン」(GPSによる時刻修正により世界中で正確な時間を表示できる時計です)を発表しました。
本当に「技術力で時計の歴史を動かした会社」と言っていいと思います。
現在時計の完全な自社一貫生産体制(マニュファクチュール)は非常に難しいと言われていますが、 セイコーは世界でも数少ないマニファクチュール企業としても知られています。
どうです?スゴイでしょ?
「ものづくりの日本人らしさ」を感じません?
福袋の中身
価格の話
値段の説明を少ししておきます。
まず値段は基本的に税込で表示しています。
「正規価格」というのはセイコーが最初に設定した発売価格であり、メーカー希望小売価格のこと(定価とも言います)。
「福袋価格」は1月1日における福袋の販売価格。
「市場価格」は2020年1月における価格ドットコムで調べた平均価格
価格ドットコムというサイトで、それぞれの商品の2020年1月時点における平均販売価格を調べてみました。その価格をもって仮に「市場価格」としてあります。厳密なものではありませんが、一つの目安にしてみてください。
それではこの画像の左上の商品から順番に紹介していきますね。
ブライツ
写真には「ソーラー電波」と記載されています。 そもそも「電波時計」というのは、標準電波を受け取ることで自動的に時刻を修正する機能を搭載したものであり、 そこに文字盤を通して光をセルにあたることで発電する機能を搭載したものを「ソーラー電波時計」と呼びます。 つまりエリア限定での「自動時刻修正機能」ということになりますが、①②両ブライツ共に、5カ国(日、中、米、独、英)の標準電波を受信できる「キャリバー8B63」というムーブメントを搭載していため、 グローバル志向のビジネスマン向けの時計と言えそうですね。
なお「ブライツ(BRIGHTZ)」というのは「 聡明で輝き続ける」という意味のセイコーが作った造語になるそうです。 ネーミングのセンスもいいですね。
ホームページによるとブライツの税込正規価格は 7万円~15万円程。 ケースにはチタンを、風防(表面ガラスのこと)はサファイアガラスを使用しています。
①ブライツ SAGA235 ソーラー電波
正規価格110000円→福袋価格55000円(50%引き)
市場価格78500円(約29%引き) 発売2017年6月
②ブライツ SAGA263 ソーラー電波
正規価格143000円→福袋価格71500円(50%引き)
市場価格96450円(約33%引き) 発売2018年6月
プレサージュ
③プレサージュ SARX039 メカニクル
正規価格81000円→福袋価格40700円(約50%引き)
市場価格59813円(約26%引き) 発売2016年9月
出典:セイコー 国産初の腕時計ローレル(1913年)
このプレサージュの特徴は、セイコーのトライマチックと呼ばれる独自技術に基づく品質と耐久性、そして温かみや日本の伝統美を感じさせる琺瑯(ほうろう)や漆によるダイヤル(文字盤のこと)のデザインになるそうなのですが、この時計の文字盤はほうろうでも漆でもないようです。 上で紹介した1913年の国産初の腕時計「ローレル」の文字盤を復刻したデザインになっているみたいです。 確かに共通点はありますね。
プレサージュにはべーシックの他に高級ラインのプレステージがありますが、ホームページによると税込正規価格はベーシックが45000円~80000円程。プレステージが 80000円~500000円程。
プロスペックス
④プロスペックス SBDY013 メカニクル
正規価格63800円→福袋価格31900円(50%引き)
市場価格49410円(約23%引き) 発売2018年4月
⑤プロスペックス SBDY019 メカニクル
正規価格69300円→福袋価格34100円(約51%引き)
市場価格53950円(約22%引き) 発売2018年7月
⑥プロスペックス SBDY021 メカニクル
正規価格62700円→福袋価格30800円(約51%引き)
市場価格48300円(約30%引き) 発売2018年7月
ルキア
「ソーラー電波」の記載のある⑦⑧⑨⑩は、4カ国(日、中、米、独)での標準電波受信による自動時刻修正機能に加え、世界の主要都市の時刻に切り替え可能なワールドタイム機能(ラッキーパスポート機能)を備えたものもあり、グローバルな女性向きと言えそうです。 ケースにチタンを用いて軽量化を図っているのも特徴です。
一方「ソーラー」と記載された⑪⑫⑬は、ソーラー発電のみのタイプであり、 電池交換は不要ですが、電波受信による自動時刻修正はできないことを意味します。 こちらはステンレスケースになります。
なお、ブランド名「LUKIA」は、L=Lucid(輝く)、U=Unison(調和)、K=Keen(はつらつとした)、I=Intellectual(知的な)、A=Active(活動的な)の頭文字を組み合わせた造語になるそうです。 ブライツの女性版みたいで知性を感じますね♪。
HPによるとルキアの税込正規価格はソーラー電波タイプが60000円~130000円程。 ソーラー発電のみのタイプは40000円~55000円程。
⑦ルキア SSQV014 ソーラー電波
正規価格78100円→福袋価格38500円(約51%引き)
市場価格62400円(約25%引き) 発売2015年10月
⑧ルキア SSQV020 ソーラー電波
正規価格78100円→福袋価格38500円(約51%引き)
市場価格61195円(約22%引き) 発売2016年10月
⑨ルキア SSQV034 ソーラー電波
正規価格85800円→福袋価格42900円(50%引き)
市場価格65500円(約24%引き) 発売2017年10月
⑩ルキア SSQW035 ソーラー電波
正規価格75900円→福袋価格37400円(約51%引き)
市場価格59260円(約22%引き) 発売2017年10月
⑪ルキア SSVR126 ソーラー
正規価格42900円→福袋価格20900円(約51%引き)
市場価格28980円(約33%引き) 発売2016年9月
⑫ルキア SSVR128 ソーラー
正規価格42900円→福袋価格20900円(約51%引き)
市場価格28500円(約34%引き) 発売2016年9月
⑬ルキア SSVS034 ソーラー
正規価格49500円→福袋価格24200円(約51%引き)
市場価格34650円(30%引き) 発売2017年9月
セイコーセレクション
⑭セイコーセレクション SWFH083 ソーラー電波
正規価格41800円→福袋価格20900円(50%引き)
市場価格29260円(30%引き) 発売2017年7月
アストロン
なお、 この「アストロン」の名前は 1969年に時計史を変えた「クオーツアストロン」に由来しているそうです。「21世紀も時計史を作っていくのはこのセイコーである!」という強い意志と自信を感じます。HPによるとアストロンの税込正規価格は16万円から30万円程。
⑮アストロン SBXB085 GPSソーラー
正規価格198000円→福袋価格99000円(50%引き)
市場価格155500円(約21%引き) 発売2016年7月
⑮はGPS受信機能に特化したシンプルな構造を持つ8Xシリーズ「ワールドタイム」 というライン(税込正規価格は16万円~20万円程)。
⑯は二つの地域の時刻を同時表示でき高い実用性を誇る8Xシリーズ「デュアルタイム」というライン(税込正規価格は24万円~25万円程)。
⑰は8Xシリーズの「エグゼクティブライン・クロノグラフ」(税込正規価格は27万円~30万円程)。
…になるみたいです。
⑯アストロン SBXB101 GPSソーラー
正規価格242000円→福袋価格121000円(50%引き)
市場価格193600円(20%引き) 発売2016年1月
⑰アストロン SBXB129 GPSソーラー
正規価格275000円→福袋価格137500円(50%引き)
市場価格220000円(25%引き) 発売2017年6月
セイコーの福袋って結局お得なの?
2020年のセイコーの福袋の割引率を計算してみると、概ね50~51%引きで、ほぼ半額均一と言っていいと思います。
一方で市場価格(価格ドットコムの平均価格)を見てみると、最小で約20%、最大約34%引きという結果になり、平均すると約24%引きということになりました。
確かに市場価格と比較しても圧倒的にお得のようですね。
実はアウトレットのセイコー店では、1~2シーズンほど古くなった商品が 30~40%引きで販売されていることが多いです。
これがお正月などのセール期間中になると、 ここからさらに5%~20%引きになる商品も出てきます。
これが福袋になると「約50%引き」 といったところになるようです。
ですので、セール期間中の値引き商品との実質的違いは、あまりないと言えるのかもしれません。
高額ブランド「グランドセイコー(GS)」も アウトレットに置いてありますが、こちらは25%引きが限界のようで、数も多くありません。
セール期間中も更なる値引きは行わないようです。
値段も大体30万円台~50万円台といったところになるようですが、 福袋に入ったことはありません。
まれに「スプリングドライブ(上で紹介した針が滑らかに動く時計)」の 「GS 」が アウトレットに入荷されることがありますが、 店員さんの話によると大抵速攻で売り切れるそうです。
アウトレットで「スプリングドライブ」に出会えたらラッキーです。
興味のある方は事前にお店に電話して確かめてみてください。
近年の福袋の傾向
実は過去にもセイコーの福袋(アウトレット御殿場店)の中身を調べたことがあるのですが、セイコーの場合概ね毎年50%引き程度になるようです。
→2018年の福袋を見てみる
→2019年の福袋を見てみる
そして福袋の最高額も概ね10万円相当で推移していたようです。
しかし昨年は最高額が11万円を超え、
2020年は137500円という高額福袋(総額275000円相当)を販売しました。
近年のセイコーでは、確かに福袋の高額化の傾向があるようです。
ですが、実は同じアウトレットのg-shockでは 、2020年に22万円(総額約45万円相当)の福袋が販売されています。
→ g-shockの福袋の中身を見てみる
ただ単に高いものを販売すればいいというわけではないのですが…
さらなる値引きや、グランドセイコー(GS)入りの超高額福袋など、もう少し夢のある福袋も見てみたいね。
それでは。